生命保険のサイト

生命保険で損をしないために

生命保険の構造

   

人の死や病気を統計化して決定 〜 生保標準生命表

近代生命保険は17世紀末にイギリスの天文学者エドモンド・ハリーが「生命表」を作ったことから始まります。現在でも生命表を元に料金が決められることに変わりはありません。

一人一人の人間がいつ死ぬかはわからなくとも、大勢となる社会全体で均せば、何歳で何人くらい死ぬかが概ねわかる「大数の法則」によりつくられたのが「生命表」です。ここに、保険会社の利益、国債の利率、免責事項(戦争や災害など)といった諸条件を加味して料金が決められます。17世紀云々、大数の法則などという言葉は初耳でも、概ね想像できる内容です。

生保が使っているのはアクチュアリー協会が作る「生保標準生命表」です。

予定利率

終身保険の保険料は予定利率によって決まります。予定利率というのは金利みたいなものです。月10,000円の保険料だとすると、まずは4,000円くらいを生命保険会社が取り分として抜き、残りの6,000円が純保険料と呼ばれ、これに予定利率や死亡率を計算して金額を決めます。

予定利率は国債の金利に準じています。生命保険会社は保険料として集金した金を国債で運用した場合に絶対損をしないように計算して、予定利率を設定します。死亡率で損をしないよう設定し、あらかじめ高額な手数料を抜き、運用でも損をしないようにして、生命保険会社は大きな儲けを懐に入れています。

〈予定利率の変遷〉

  • 昭和51年(1976年)3月〜昭和56年(1981年)3月  5.00%〜5.50%
  • 昭和56年(1981年)4月〜昭和60年(1985年)3月  5.00%〜6.00%
  • 昭和60年(1985年)4月〜平成2年(1990年)3月   5.50%〜6.25%
  • 平成2年(1990年)4月〜平成5年(1993年)3月   5.50%〜5.75%
  • 平成5年(1993年)4月〜平成6年(1994年)3月   4.75%
  • 平成6年(1994年)4月〜平成8年(1996年)3月   3.75%
  • 平成8年(1996年)4月〜平成11年(1999年)3月   2.75%
  • 平成11年(1999年)4月〜平成13年(2001年)3月  2.00%
  • 平成13年(2001年)4月〜平成25年(2013年)3月  1.50%
  • 平成25年(2013年)4月〜平成29年(2017年)3月  1.50%
  • 平成29年(2017年)4月〜             0.40%

保険料の内訳

我々の保険となる部分はいくらで、手数料はいくらなのか、保険料の内訳はわからないものでした。まあそうですよね。食料品や服飾品、自動車でも価格の内訳はわかりません。

しかしちょっとまって下さい。保険は人の生き死にをネタに金勘定しただけのもので、実際には何もつくってません。となると、食料品や自動車とは違います。同じ金勘定だけの商品、証券会社の株や銀行の定期預金は手数料や利率はわかりますよね? となると手数料がわかっても良いのでは? と思えます。

唯一これを公開しているのが、平成20年(2008年)に公開したライフネット生命です。当時とても話題となりました。その際、純保険の部分を原価といっており、それはちょっと違うなと思いましたが、公開したことは大いに参考になりました。

生命保険は保険の原資となる部分を「純保険料」、手数料として保険会社が最初から差っ引く部分を「付加保険料」といいます。ライフネット生命の公開資料によれば、30歳男性が保険金3,000万円、保険期間10年、月々の支払い3,190円の保険に入ったとすると、純保険料は2,435円(76%)、付加保険料は755円(24%)となります。

ライフネット生命などのインターネット専門の保険会社は、比較的経費が抑えられているでしょう。高額な給与をとる社員がおり、対面販売する営業員もいて、ビルや不動産を多数所有するような昔ながらの大手漢字系生保の場合は、経費部分が大きくなるでしょうから、手数料として差っ引く付加保険料の比率はもっと高そうです。

上記の手数料24%より高いとすると、大手漢字系生保の手数料は35%〜40%と勝手に予想してみます。月々1万円の保険料なら月4,000円、年4万8,000円は最初から保険会社に抜かれているのです。

さらに、終身保険で満期まで死ななかったとしたら、その間は運用で利益を上げます。そもそも、死亡率を計算して絶対に損しないようになっていますから、支払いが収入を超えることはないのです。ちなみに、平成27年(2016年)日本生命の売上高は6兆809億円、保険金支払は3兆7,498億円です。そもそも儲かる仕組みな上、手数料は高額。虚業が栄えるわけです。

同じ条件でも随分違う保険料

手数料を念頭において、いくつか比較してみましょう。ネットで見積もりしたものですので、条件が揃わなかったり不明なところがありすみません。※金額は平成29年(2017年)5月現在。

◎30歳男性が死亡保険金3,000万円、保険期間10年の定期保険に入った場合の月々の保険料
〈ライフネット生命〉2,435円
〈明治安田生命〉8,010円(高すぎるので特約が付いている可能性あり)
〈メットライフ生命〉5,940円(10年更新型)

◎30歳男性が死亡保険金2,000万円、保険期間10年の定期保険に入った場合の月々の保険料
〈ライフネット生命〉2,210円
〈楽天生命〉2,340円
〈住友生命〉5,200円

◎30歳男性が死亡保険金1,000万円、保険期間10年の定期保険に入った場合の月々の保険料
〈ライフネット生命〉1,230円
〈楽天生命〉1,280円
〈アクサダイレクト生命〉1,240円
〈オリックス生命〉1,310円
〈かんぽ生命〉2,900円

◎30歳男性が死亡保険金5,000万円、保険期間20年の定期保険に入った場合の月々の保険料
〈ライフネット生命〉7,305円
〈ソニー生命〉7,350円

更新があっても無視して、あくまで10年で比べてありますが、同じ保障でも随分金額が違います。保険は金勘定だけの商品ですから、保障が同じである以上、ほとんどは手数料(付加保険料)の違いです。

 - 基礎知識