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実例集 「騙された!」<case3> 国民生活センターによせられた実際の出来事

      2013/09/02

内容がわからない高齢者を巧みに誘導

長い付き合いにつけ込み、痴呆気味の高齢者にリスクのある商品を訪問販売した銀行員のケース。悪質極まりないといっていい内容です。

78歳と高齢かつ痴呆気味の母親が「積立預金」を購入した、と思っていたら、実は「米ドル建て積立利率変動型個人年金保険」だったという被害を訴えた同居する40歳の娘さん。

「積立利率変動型個人年金保険」は、最低利率が保障されていれば、終身保険と同じように、基本的にリスクがないが、米ドル建てなので、為替リスクがあります。ちなみに、似ていても「利率変動型積立終身保険」はアカウント型保険のことを指し、一刻も早く見直した方がいい商品です。そもそも保険商品ですから、「積立預金」とはまったく違います。

以前から付き合いのあった銀行の担当者は、預金の出し入れにしばしば母子宅に出入りしていた。この銀行員は最初娘さんに「金融商品を販売したい」と申し出たが断られました。すると今度は、金融商品の知識がまったくない78歳の母親にセールス。母親は、「積立預金なら」と満期になる定期預金を解約し、購入しました。

その夜、母親から積立預金を購入したと契約書を見せられた娘さんはビックリ。母親が購入したのは、「米ドル建て積立利率変動型個人年金保険」だったのです。母親はこのとき娘さんに説明されて初めて、積立預金ではないと知ったのです。

 

翌日、娘さんは自宅に訪れた銀行員に解約を申し出ましたが、「クーリング・オフはできない」と断られました。確かに約款にはそう書いてあるが、「それはないだろう」と消費者センターに駆け込みアドバイスを受け、すぐに銀行と交渉しました。

ここでも販売した銀行の対応は驚くべきものでした。それはこうです。

「リスクも含め内容はきちんと説明した。書類上の不備はない。法律上も問題ない」といいながら、契約者である母親の同意なく「勝手に解約」し、足が出た4,900円を「差し引いて」一方的に口座に返金したのです。

今度は、国民生活センターが販売手法に不備な点が多いと問い合わせると、「説明は十分に行ったし、勧誘に問題もなかった。為替リスクの説明も行った。預金との違いについて説明を受けた確認書にも署名してもらっている。原則取り消しは認めない」といいつつ、「持ち帰り検討する」という対応をとった。得意の「契約書にも確認書にサインしたでしょ」です。

結局、銀行側は足が出た4,900円を返金したものの、「理由は明らかにされなかった」と国民生活センターは報告しています。要するに、「販売手法に問題があったとは認めなかった」ということでしょう。

原則クーリング・オフは、「自発的意思による行為」の場合は適応されません。振り込みによる購入、窓口や事務所に訪れての契約がクーリング・オフできないのはこのためです。ただし金融庁では、「訪問販売等の不意打ち性のある取引では(振り込みでも)個別的具体的に判断している」ということです。いくら振り込んだとはいえ、今回のケースが「自発的意思による行為」とは考えられません。

詐欺まがいの手口を使い、「いわれたから返せばいい」と居直る銀行。第3章でも書いたように、やはり「人を見たら泥棒と思え」という心構えが必要なようです。

 

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