契約者のため、という乗り合い代理店のメリットとデメリット
1996年の規制緩和によって認められた乗り合い代理店は年20%以上といわれる勢いで成長を続けています。好立地に次々とオープンする店舗を見ていると、その成長を実感できます。
自社の商品だけを強烈に営業していたこれまでのいわゆる「生保レディ」と比較すると、複数の会社の保険からよいものを選んでくれるというのですから、構造上は画期的なものに見えます。
しかも相談料は無料となっています。その実態はどうなのでしょうか?
中立公正であればメリットは多い
いざ保険を検討しようとなったときは、各社に資料請求し、見積もりをとり、数字を確認しなければいけませんでした。インターネット上で商品の詳細が確認でき、見積もりまでできる会社も増えてきましたが、昔ながらの国内漢字系大手のほとんどは、やはり資料を取り寄せなくてはいけません。資料を取り寄せれば、必ず電話なり訪問があります。
平均約2,000万円といわれる高額商品ですから、各社から資料をとりよせるところまではがんばったとしても、届いた多くの資料を解読し、比較するのは素人にはなかなか難しいことでした。
キャッチフレーズやイメージだけが柔らかく、一歩中に入ってパンフレットや見積書を見ると、専門用語や細かい文字・数字がびっしりと並んでいるのですから。
乗り合い代理店が標榜するとおり、「中立公平に各社の商品の中からベストなものを選んでくれる」ということであれば、保険に精通したプロが、自分にとって一番よいものを選んでくれるわけですから、これは大きなメリットです。
基本は保険会社の代理店
しかし、残念なことにそう簡単にはいきません。乗り合い代理店の「代理店」とは、我々消費者の代理店ではなく、保険会社の代理店だからです。我々から相談料をとらない彼らの収入源は、保険料の30〜50%といわれる保険会社からの販売手数料です。
当然、保険会社は自社の利益率が高い商品を多く販売してほしいですから、商品毎に手数料を変えたり、キャンペーンをはって手数料を上積みしたりと、あの手この手を使います。
乗り合い代理店が収益を高めるには、「少しでも保険料の高い保険を販売する」、「手数料の高い保険を販売する」ということになります。生命保険の見直しのために無料相談を受け、「いまのままで問題ないですよ」ということでは、彼らの利益にはならないですから、少しでも新しい商品を購入してもらわなければなりません。
自分でチェックできることが大切
自社の商品しか営業しない従来のいわゆる生保レディより、乗り合い代理店の方が提案できる情報が多く、便利な存在であることは確かです。ただし、このような事情を知った上で利用することが大切です。
2,000万円といわれる買い物ですから、いくつかの乗り合い代理店を回り、提案をチェックする慎重さが最低限必要になってきます。便利に活用しつつ、自分自身で判断する必要があります。
それにしても、商品によっては乗り合い代理店に50%の手数料を払っても儲かるということは、その商品に加入した人が払った保険料から、代理店50%+保険会社が手数料をとることになります。半分以上が手数料ということですから、驚きです。