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生命保険で損をしないために

公的健康保険・年金制度はこんなに手厚い

      2013/02/10

生命保険の得する見直し「基本のキ」

生命保険の得する見直しは、基本をおさえて自分でするのがベストであり、プロしか理解できない複雑なものは避け、自分でわかるシンプルなものだけ相手にすればよいわけです。

その「基本のキ」が公的健康保険・年金制度の理解です。生命保険の見直しだからといって、「生命保険をどれにする」という観点のみになってしまっては、すでに生命保険会社のイメージ戦略にはまっていることになります。民間生命保険は一切不要という結論も常に持っていなければなりません。

最近販売が好調なのが、5年間で100万件超といわれる医療保険です。

「50・80よろこんで!」のテレビCMが傷害保険だとは、私自身も最初は気がつきませんでした。しばらくは医療保険だと思っていました。あれほど紛らわしい広告をしてまで売りたい「儲かる」商品なのかと疑いたくなります。

以降に、主な公的医療保険/助成の概要をざっと並べてみました。とても充実していませんか? ここにあげたもの以外にも、万が一の社会保障はかなりの数用意されています。

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そして、保険・年金である以上、公的であろうが民間であろうが、「掛け金を払って保障を買っている」我々にとっては同じ「保険」です。「そんなことはわかっている」という声も聞こえてきそうですが、生命保険の加入や見直しにあたって、公的保険・年金制度を何か別ものとして扱ってしまう人が案外多いのではないでしょうか。

会社員の場合、健康保険・厚生年金は節約することができませんが、保険料は「国民の8割が加入する生命保険大国、日本」で計算したとおり、平均所得世帯では月65,640円となり、年間78万7,680円となります。乱暴な計算ですが、これを40年で掛けると約3,151万円になります。我々は民間の生命保険を検討する前にすでに多額の保険料を払っているのです。

しかも、妻と子供2人の扶養家族がいる場合は、妻子も同じ医療サービスが受けられ、額はいろいろですが妻は年金も受け取れます。障害を負った場合にも障害年金があります。それらを考慮すれば民間生保を検討する前に、「すでに十分な保険に入っている」と考えられます。

 

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特に覚えておきたい高額医療制度

特に覚えておきたいのは、高額医療費制度でしょう。「医療費100万円」といっても実際の自己負担額は約8万円です。しかも同じ年に何度も高額医療を受けた場合は4回目からは44,400円となります。

日本における医療保険のパイオニアであり、現在でも最も売れている生保会社の医療保険の保険料を見てみましょう。入院日額1万円のスタンダードなもので、40歳男性が一生涯払い込む設定だと、月の保険料は5,312円になります。年間63,744円、40年で254万9,760円です。

では、実際の自己負担額はどの程度なのでしょうか? 厚生労働省の患者調査などを参考に、考えてみました(数値はあくまで平均的なものです)。

日本人に多いとされる胃がんでは、40日入院、1日あたり13,000円程度の診療費が目安となるようです。治療費が高くなる悪性リンパ腫や白血病などを入れ、差額ベッド代など病院が別途請求してくる費用を加算すると、保険会社がよく使う、「入院時1日あたりの自己負担費用の平均は16,000円」という数字になってきます。平均40日とすると、64万円になります。

「それならば、がんのケースで、4回入院があれば64万円×4で元がとれる」と考えがちですが、実際はそうはいきません。大手生保の決算資料などから推計した入院一件あたりの保険給付額の平均は約20万円です。この数字はがんに限ったものではありませんが、仮にこの20万円で上記の払込総額モデルである約255万円を回収するには13回の入院をしなければいけないことになります。

保険会社が必ずといっていいほど自己負担額にプラスする「差額ベッド代」ですが、法的には「患者が希望した場合」に支払うものですから、希望しなければ払わなくてよいのです。そのため、病院は最初に「差額ベッド代について」などという同意書をとったりするのです。とはいえ、高齢社会となり介護を要する高齢者は弱い立場です。「ちょっと機嫌を損ねると追い出される。しかも次はなかなか見つからない」という現状が歯がゆいところです。

公的年金制度の不足を煽る「欠如の法則」

消えた年金が大きく話題となった年金制度。現在は「ねんきん定期便」が毎年誕生月に送られてくるようになりました。加入期間や納付額、受取見込額などが明示されています。まずは、抜けている期間がないか確認しましょう。

年金制度は国民年金、厚生年金、共済年金の3階建て構造になっていて、普通の会社員の方であれば、「国民年金+厚生年金」に加入していることになります。将来の受取額は給与額によって異なり、保険料は給与から自動的に天引きされています。その他に会社によっては、企業年金ももらえます。

厚生年金に加入してきた平均年収の会社員をモデルとした、平成22年の夫婦2人分の平均受給額は月23万2,592円、年額では約280万円になります。国民保険に加入する自営業者の平均は、夫婦2人の場合で月13万2,016円、年額約158万円です。

「国の年金だけでは豊かな老後は難しい」というフレーズが生保各社のパンフレットなどに散見されます。広告宣伝活動を有利にすすめるための手法、「欠如の法則」です。ある設定「豊かな老後」をしたうえで、「あなたにはあれが足りない、これが足りない」と欠如を強調するのです。

 

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同じように将来を豊かにするとしても、私は「国の年金だけでは豊かな老後は難しい」という考え方はしません。こう考えます。

「家のローンも終わり、子供たちも独立し、退職金もあれば、年金だけで静かで楽しい生活ができる」。その上で、「プラスの資金があれば、できることも増えるし、子供たちにも残せる」。だから、「よく検討して、きちんと利殖をしよう」。

「欠如の法則」ではなく「充足の法則」です。同じ「少しでも老後の資金を増やそう」という結論であっても、この違いが無駄な保険料をカットする不可欠な基本です。

 

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いわゆる民間の年金保険は利率が低すぎる

かつてない低金利の現在、生命保険会社のいわゆる円建ての個人年金保険はおすすめしづらい商品になってしまいました。

ある大手生保の年金保険(一時払据置型定期年金)に55歳で加入し65歳一括受取の場合、予定利率は0.75%にすぎません。さらに、保険会社の手数料(付加保険料)を除いて計算すると、実際に加入者が受け取る「実質利率」は0.13%です。500万円を一括払いして、10年後の65歳に受け取る額は506万5,500円にすぎません。500万円の資金を10年間拘束され、65,500円しか増えないということです。しかも最初の7年間は満期前に解約すると元本割れします。

元本割れの可能性があるということは、「リスクのある投資商品」ということです。リスクのある投資商品の場合、リスクフリーレート(理論的にリスクがゼロである)を上回る金利がなければ投資する意味がありません。リスクフリーレートの基準とされる10年もの国債の平成24年5月24日おける金利は0.885%。公的制度を活用した方が金利が約7倍よいということになります。

 

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先進医療への誤解

次に気をつけたいのが「先進医療」という言葉です。保険会社のパンフレットを見ると、最新の高度な医療というイメージを持ってしまいます。

しかし実際は、「効果が認定された高度医療は健康保険がきく」のであり、保険がきかない先進医療は「公的保険が適用されない医療」=「税金を使えるほど確実な効果が確認されていない」ということを意味します。要するに実験的な段階を出ない医療ということです。「先進医療が受けられない=最新の最も効果のある高度な治療が受けられない」というイメージは間違いです。

さらには、「先進医療」という言葉には、とにかく高額な費用がかかるようなイメージを持たされます。私自身もこの言葉に触れた当初、「300万円とか500万円」というイメージを持ちましたが、実際はそうでもありません。確かに300万円近いものもありますが、上記のとおり100万円以下のケースが多いのです。

先進医療を受けた14,505件の7割程度はがんの治療だといわれており、全国のがん患者は約152万人で考えると、先進医療を受けているのは全体の1%程度という数字もあります。

ここに示したのは、代表的な公的医療・年金制度のみです。この他にも、障害を負ってしまったり、生活が困難になってしまった場合など、日本国民として「健康で文化的な最低限度の生活」をおくる権利を確保する制度が用意されています。民間の「保険を検討する」ということは、万が一をケアする目的がありますから、その前に公的な制度を確認しておくことは必須といえるでしょう。

公的な制度を知ったうえで

これらの公的制度を知ったうえで、民間の生命保険を考えてみます。

公的制度や貯金でカバーできない部分を民間の生命保険でカバーするのがもっとも効率的です。となると「一度に貯蓄では対応しきれない大きな金額が必要になった場合」が考えられます。

時期としては、子供が就学中に一家の大黒柱に万が一のことがあったときです。住宅ローンは契約者が死亡したときは以後の支払いがなくなる保険に入っていることが多いですし、子供がいれば遺族年金も支払われます。公立の義務教育や高校では学費の補助や育英資金もあります。

その他の学費や生活の足しにということになると、2,000万〜3,000万円というのが一般的な額です。史上最低の低金利時代のいま、資金を拘束される終身保険でこれをカバーするのは得策ではありませんし、月々の家計への負担が大きくなります。

現在発売されている商品の中で、必要な時期に2,000万〜3,000万円程度の金額がフォローできて、月々無理なく支払える生命保険は、掛け捨ての定期保険しかありません。掛け金は少しでも安い方がよいですから、会社に団体保険があれば、まず検討する第一候補でしょう。

ちなみに、ネットライフ生命の定期保険の場合、35歳男性が2,000万円、20年の定期保険に加入すると、月の保険料は4,906円です。

 - まず知っておきたいこと