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生命保険で損をしないために

生命保険のやめ方

   

生命保険をやめる理由はほとんどの場合、支払いが厳しくなるか、違う生保に乗り換えるかでしょう。

定期保険

定期保険のような掛け捨て保険は、支払いをやめた時点ですっきり終了。基本的に解約返戻金などもありません。

保険料が高くなってしまうのでは? と思って調べてみました。例えば、30歳で10年の定期保険に入り35歳で解約し、38歳で再び契約となると、38歳時点の保険料はかなり高くなるのは? といった疑問です。

参考までに価格を調べてみます。
オリックス生命の定期保険「定期保険ブリッジ」(解約返戻金なし)を30歳、20年、1,000万円で契約すると月の保険料は1,688円。38歳で再度契約ということは、必要な保証期間(30歳時20年)からして10年でよいでしょうから、38歳、10年、1,000万円として、2,076円になります。

このくらいの差であれば、自分の都合に合わせて加入・解約は少ないリスクでできます。このように、定期保険は大変使いやすい商品です。生保はこれで十分なのではないかと思えてきます。

終身保険の予定利率は、2017年6月現在たったの0.40%程度(日本生命)ですから、そんな金利で何十年も払うくらいなら、できるだけ安い定期保険で10年とか20年という必要な期間だけ補うのは利口な気がします。死ぬまで、いや、死んだ後まで付き合わなくてはいけない終身保険と比べ、生命保険会社の破綻リスクをあまり考えなくてよくなるのも利点です。

破綻しなければ、契約時の利率は守られます。しかし、詐欺すれすれ(中にはほとんど詐欺)の手を使って、年寄りを言いくるめて高利率の商品を低利率のものに変えさせる(転換)、なんてのは朝飯前の生保です。もしかしたら今後、法律だって変えてくるかもしれません。そういう意味でも関わる期間を短くするのは無難かもしれません。

やめる事を前提に考えてみるのも、見えてくるものがあって面白いです。

終身保険

終身保険は定期保険と違って、やめるとなると、簡単ではありません。終身保険は満期まで払うことを前提につくられており、途中で解約しなければ契約して5年後に死のうと、100年後に死のうと、長期に渡って保障された金額が受け取れます。そして貯蓄性が高い分、やめる時も掛け捨ての定期保険とは違ってちょっと面倒です。

支払いをやめる方法は「解約」、「払済保険」の二つです。支払いを減らしたい時には保険金額の「減額」や「特約の解約」、他に「転換」があります。良いと思うのは払済保険です。

〈払済保険〉

払済保険とは、保険料の払込みを中止し、変更時の解約払戻金を一時払の保険料に充当して保険期間を変えずに保障額の少ない保険に変更できる制度です。要するに、解約したら受け取るべき解約返戻金を一括して保険料に充当し、それまで支払った保険料とともに保障額を設定します。
終身という保険期間は変わりませんから、即座に少しでも現金が必要だということでなければ、検討の価値ありと思います。

〈解約〉

終身保険にはほとんど解約時の払戻金があります。どの程度なのでしょうか。解約時の払戻金を調べます。

・日本生命の場合(2017年)
学卒22歳の男性が日本生命で60歳満期、500万円の終身保険に入ったとします。月の保険料は9,390円。
35歳で解約するとします。13年間に支払った保険料は146万4千円、解約時に戻ってくる解約時払戻金は127万5千円ですから、18万9,000円もの大損になります。解約時払戻金が支払った保険料を上回るのは、22歳で契約してから29年後、51歳の時。払込保険料は326万7,000円、解約時払戻金は329万円です。

〈転換〉

その時の契約を下取り新しい保険を購入します。現在は史上最低の予定利率(金利)ですから、よほど注意しないと大変なことになります。要するに解約、新規購入ということですから、現在の予定利率の商品を購入することになります。

最初の契約が低い予定利率(金利)で、新しく買う保険が高い予定利率(金利)であれば良いのですが、現在は史上最低の予定利率(金利)0.40%です。生保は「充実した最新プランにモデル・チェンジ」といって薦めます。生保にとっては、高い利率の彼らにとって損な商品を、現在の低い利率(生保にとって大儲け)の商品へと変更できる、都合のよい制度です。

昭和50年(1975年)〜平成5年(1993年)頃は5%〜6.25%という、最大で現在の15倍という高い利率(我々にとって得)です。この時代の終身保険は「お宝保険」といわれています。

生保は、このお宝保険を「転換」によって、低利率の商品へと変えさせようとします。一人暮らしの金利や計算に疎いお年寄りなどはかっこうのターゲットとなります。
一人暮らしの老婆、死んだ夫が妻名義で掛けておいたお宝保険があったとします。生保レディは、人当たり良く優しく老婆に近づき、「お元気ですか?」と何度も訪問します。
そして、老婆が自分を信用しただろう頃合いを見計らって「お持ちの古い保険を下取りして、お得に充実した最新モデルに変更しませんか?」と持ちかけます。

充実した最新モデルというのは、大抵複雑で、最も生保が儲かる「アカウント型(定期保険特約付終身保険)」です。書類をみてもなかなかきちんと理解するのは難しいでしょう。「新しい良い商品なのよね?」「そうです。最新の充実プランです」「じゃあお願いするわ」などという会話がありそうです。

そして、高利率の素晴らしい商品を持っていた老婆は、遥かに利率の低い商品を買わされ、大損するのです。老婆が大損をして、生命保険会社は濡れ手に粟で大喜び、生保レディは営業所でそれはそれは褒められることでしょう。

史上最低利率の現在、終身保険に加入している人が、将来利率が上がった時に「転換」すれば我々契約者(顧客)に利益があるのですが、そういう時は、生保は絶対「転換」を薦めることはないでしょうね。要するに生保は金勘定だけの純粋な金儲けで商売しているのです。当たり前のことですが、再確認しましょう。我々の都合が良い時だけ生保を使えばよいと思います。

参考までに予定利率の変遷です。

  • 昭和51年(1976年)3月〜昭和56年(1981年)3月  5.00%〜5.50%
  • 昭和56年(1981年)4月〜昭和60年(1985年)3月  5.00%〜6.00%
  • 昭和60年(1985年)4月〜平成2年(1990年)3月   5.50%〜6.25%
  • 平成2年(1990年)4月〜平成5年(1993年)3月   5.50%〜5.75%
  • 平成5年(1993年)4月〜平成6年(1994年)3月   4.75%
  • 平成6年(1994年)4月〜平成8年(1996年)3月   3.75%
  • 平成8年(1996年)4月〜平成11年(1999年)3月   2.75%
  • 平成11年(1999年)4月〜平成13年(2001年)3月  2.00%
  • 平成13年(2001年)4月〜平成25年(2013年)3月  1.50%
  • 平成25年(2013年)4月〜平成29年(2017年)3月  1.50%
  • 平成29年(2017年)4月〜             0.40%

医療保険

医療保険はほとんど保険会社に寄付しているようなもの、個人的にいらないと思っていますから、割愛です。

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