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生命保険で損をしないために

医療保険

   

個人的に民間の医療保険はあまり必要性を感じません。強制的に加入している公的医療制度に100万円~200万円の預貯金で良しと考えています。公的医療制度はなかなか手厚いものです(詳しくは該当ページをご覧ください)。

とはいえ、医療保険がたくさん売れており、コマーシャルも盛んです。どうしてそんなに売れるのか? 儲かるのか? 知りたくなります。もしかしたら、国の医療保険制度で十分と思ってろくに民間の生命保険を調べてもいませんでしたから、調べてみたらやっぱり必要かも、などということになるかもしれません。

どのくらい売れているか?

医療保険とガン保険あわせた数字を調べます。一般社団法人生命保険協会「2016年版 生命保険の動向」から数字を拾います。生保業界は裏に色々隠していて我々には見えない、と思いがちですが、公表数字から見えてくることはたくさんあります。

生保業界全体の収入保険料(売上高)は、平成27年(2015年)37兆7,481億円、平成26年(2014年)37兆2,223億円となっています。

〈保有契約件数〉

    保有契約件数は1億6,011万件、内訳は次の通りです。
    1 終身保険 3,410万件(21.3%)
    2 医療保険 3,370万件(21.1%)
    3 ガン保険 2,314万件(14.5%)
    4 定期保険 1,989万件(12.4%)
    5 養老保険 1,341万件(8.4%)
    6 定期付終身保険 1,041万件
    7 その他 954万件
    8 こども保険 715万件
    9 利率変動型積立終身保険 675万件
    10 変額保険 198万件

〈保有契約高〉

    保有契約高は、858兆6,041億円、内訳は次の通りです。
    1 定期保険 252兆1,328億円(29.4%)
    2 終身保険 167兆1,746億円(19.5%)
    3 定期付終身保険 136兆8,358億円(15.9%)
    4 利率変動型積立終身保険 80兆6,679億円(9.4%)
    5 養老保険 43兆6,300億円(5.1%)
    6 こども保険 15兆円
    7 変額保険 12兆円
    8 医療保険 4兆円
    9 ガン保険 2兆円
    10 その他 143兆円

医療保険とガン保険をあわせると6兆円あります。掛け捨てであることを考えると儲けはかなりありそうです。

入る必要性を探る

医療保険のパンフレットで「入院費用は約7割の人が一日あたり1万円以上」などという言葉を目にします。大手生保から前にもらった資料にもありました。

それによると、その根拠は「生命保険文化センター「平成25年度 生活保障に関する調査」(食事代、差額ベッド代などを含む。高額医療費制度を利用した場合は利用後の金額)」となっています。

根拠とされている資料の最新版(2016年)をみると次のような数字が拾えました。

〈直近の入院時の1日あたりの自己負担費用〉
5,000円未満・・・・・・・12.5%
5,000円~7,000円未満・・・8.3%
7,000円~10,000円未満・・・13.7%
10,000円~15,000円未満・・・24.5%
15,000円~20,000円未満・・・7.9%
20,000円~30,000円未満・・・14.1%
30,000円~40,000円未満・・・6.9%
40,000円以上・・・・・・・・12.0%
平均 20,990円

10,000円以上の割合を足すと65.4%になります。平成25年の資料では同じ計算で73.1%でした。確かに「入院費用は約7割の人が一日あたり1万円以上」は間違いありません。次に入院日数をみます。

〈直近の入院時の入院日数〉
5日未満・・・・・17.5%
5日~7日・・・・・25.4%
8日~14日・・・・・25.1%
15日~30日・・・・19.5%
31日~60日・・・・6.6%
61日以上・・・・・5.9%
平均・・19.1日

さらに、入院する確率が知りたくなりました。

厚労省「平成26年患者調査の概況」によると、人口10万人に対して、調査日に医療施設で受療した患者の推計数、入院受療率の総数は次のようになっています。

0歳・・・・・・1,038人
1~4歳・・・・・170人
5~9歳・・・・・92人
10歳~14歳・・・92人
15歳~19歳・・・117人
20歳~24歳・・・165人
25歳~29歳・・・241人
30歳~34歳・・・296人
35歳~39歳・・・304人
40歳~44歳・・・330人
45歳~49歳・・・427人
50歳~54歳・・・591人
55歳~59歳・・・772人
60歳~64歳・・・1,064人
65歳~69歳・・・1,350人
70歳~74歳・・・1,820人
75歳~79歳・・・2,635人
80歳~84歳・・・3,879人
85歳~89歳・・・5,578人
90歳歳以上・・・8,412人 

20歳~90歳以上・・・27,864人
27,864人は10万人のうちの27.86%

20歳~59歳・・・3,126人
3,126人は10万人のうちの3.12%

60歳~90歳以上・・・24,738人
3,126人は10万人のうちの24.73%

この中に、どのくらい支払いに該当する方がいるのかわかりませんから、これらの数字を並べて感覚で考えます。

どうやら、60歳未満は大丈夫そうです。自分の周囲をみると、60歳未満で支払えない程の高額な医療費で困っている方はいません。差額ベッド代は裁判してでも払う気はありませんから、平均日額の約2万円から差額ベッド代想定額の6,000円を引いて14,000円とし、平均日数の19日をかけると26万6,000円になります。これを4回と仮定すると約106万円になります。

「保険は子供ができてから考える」を基本としていますので、30歳時の医療保険の金額を少し調べます。

〈アフラック/ちゃんと答える医療保険EVER〉
30歳男性、入院給付金日額1万円、終身払込タイプ、オプション無し、2017年6月計算
5日未満の入院 :一律5日分 5万円
5日以上の入院 :1日 1万円(60日型)
手術 重大手術 :1回 40万円
入院中 :1回 10万円
外来 :1回 5万円
放射線 :1回 10万円
通院 :1日 1万円
・月額保険料:4,240円
・年間保険料:3,750円×12か月=45,000円
・総額(80歳として):45,000円×50年=225万円

〈住友生命/ドクターGO〉
30歳男性、入院給付金日額10,000円、終身払込タイプ、2017年6月計算
入院日額:1万円(180日型)
入院保障充実給付金額:10万円
手術:5万円~40万円
運動器損傷給付金額:5万円
先進医療:通算支払限度額 2,000万円
・月額保険料:8,395円
・年間保険料:8,395円×12か月=10万740円
・総額(80歳として):10万740円×50年=503万7,000円

どちらも、重い手術を含む30日の入院で80万円程度です。元を取るには、総額225万円のアフラックで約3回、総額503万円の住友生命では6.3回以上繰り返さなくてはいけません。503万は払う気になれません。次に共済もみてみます。

〈全国共済〉
30歳男性、入院給付金日額10,000円、終身払込タイプ、2017年6月計算
入院日額(最高):5,000円
入院前通院共済金(日額):1,500円
退院後通院共済金(日額):1,500円
手術共済金(最高):20万円
長期入院見舞金:30万円
先進医療費用共済金(最高):100万円
死亡共済金:10万円
・月額保険料:3,570円
・年間保険料:3,570円×12か月=4万2,840円
・総額(80歳として):4万2,840円×50年=214万2,000円

掛金は安いですが、保障内容はアフラックの方が良さそうです。ただ、死亡共済金が10万円あり、病気やケガを一切しなくても死ねば10万円は回収できます。

自分の場合は、購入するほどのメリットが見いだせず

高額医療費制度や医療費控除、サラリーマンの場合は傷病手当金などの公的補助制度も考えると、自分の結論は「60歳までに医療費として現金で最低100万円、できれば200万円を確保しておこう」となり、医療保険は見送りという考えになりました。

しかし、それでも不安という気持ちもわかります。「一刀両断、誰においても不要」という程の見識はありません。公的医療制度の窓口負担だって、将来どうなるかわかりませんから。自分の場合はそれらも含めて民間生保は「無い」を基本(ゼロベース)に考えるため、割り切りました。

生保は入るもの、という基本的な考えだったらどうなのでしょうか? もし自分がそうだったら、少しでも安いものを選び、貯蓄もできるようにすると思います。特に大手漢字系のものは高すぎます。

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